PENCIL DIVERSITY ペンシルダイバーシティ経営

がんサバイバーにとって自分の仕事がある、働き続けられる会社があるということが生きる力に。

2025.04.10

がんサバイバーにとって自分の仕事がある、働き続けられる会社があるということが生きる力に。

PIC(ペンシルイノベーションセントラル)平川 佳代子

先進国の中で唯一がん患者が増えていると言われている日本では、がん患者の3人に1人が20代〜64歳までの現役世代です。少子高齢化が進む日本では、今後、益々女性の社会進出や定年も延長される傾向にあり、さらにがんの治療をしながら働く人が急増する傾向にあります。

そんな中、ペンシルでは育児や介護と同じように、がんなどの病気になった人が治療をしながら安心して働き続けることのできる職場環境の整備を進めています。今回は、PICの平川さんにご自身の経験を交えてお話をお伺いしました。

まずは病気がわかったときの状況について教えてください。

平川 佳代子

今から6年前、56歳のときに検診で乳がんが判明しました。もともと祖母が乳がんだったため、35歳からは2年ごと、最近は毎年エコーとマンモグラフィーの両方の検査を受けて、人より気をつけていました。

ところがあるとき、検診で小さな水の塊のようなものが見つかり、精密検査の結果、乳がんだとわかりました。

手術のために一週間ほど入院し、退院後は6週間、放射線治療を受けるための通院が続きました。抗がん剤治療は必要ありませんでしたが、ホルモン治療のため心身ともに安定するまで2年くらいかかりました。5年間の治療を終え、現在は経過観察中です。

告知を受けたときはどんな状況でしたか?

特に症状もなかったので、「なぜ私が?」と驚きましたが、当時は父親と叔父の二人を介護している時期だったので、病気のことよりも自分の代わりに誰が彼らの介護をするのかが気になりましたね。小さい子どもがいるわけでもなかったので、わりと冷静で、介護や病気など人には逃げられないこと、どうしようもないことがあるのだと受け止めたように思います。

パートタイムスタッフとして長く活躍されています。

現在、入社18年目です。当初からクライアントの月次レポートの作成やサイトチェックなどコンサルタントの支援業務を中心に担当していましたが、加えて3年前からSFOラボというシニアのデジタル戦略を推進するチームにも所属しています。シニアチームでは最年少です。笑

もともとは週4回出社の短時間勤務でしたが、途中から介護が始まって、現在まで週1回の出社とあとは在宅で勤務しています。ペンシルは働きやすい会社なので、長く勤め続けることができているのだと思います。

病気のことは上司にはどう伝えましたか?抵抗はなかったですか?

チームワークもよく、普段から困ったことなどを相談しやすい雰囲気だったので、病気の話も全く抵抗はありませんでした。「がんになりました。しばらく勤務に支障が出るかもしれませんが、希望としては仕事を続けたいです。」とありのままに申し出ました。

上司からも「わかりました。仕事のことは心配しなくていいので、治療の状況を見ながら話し合って進めていきましょう。」とスムーズなコミュニケーションができたと記憶しています。ありがたかったです。

最初から治療と仕事の両立をイメージされていたのですね。

一般的にはがんにかかったら、「仕事は続けていけるのか?」「長く休むことになってしまったらどうしよう。」と思い悩むのが普通ですが、私の場合は何も心配していませんでした。というのも、ペンシルはダイバーシティや働き方改革が言われるずっと前から、柔軟な働き方が浸透している会社だったからです。

加えて、現在では育児、介護、治療など個人の事情に合わせた両立環境がすでに整っていると思います。さまざまな分野で、時代の先取りともいえるトップコミットメントを発信してもらっていることは、スタッフにとって安心して働ける一番の支えになるのではないでしょうか。当事者でなければピンとこないかもしれませんが、少なくとも私はそう感じています。

実際に両立はどのようにされましたか?

平川 佳代子

放射線治療は週5日毎日通院が必要でした。治療にかかる時間は5分程度ですが、病院で着替えなどの準備から支払いまでトータルで約1時間かかります。

私は仕事の前、朝一番に治療を済ませるようにしていたので、業務には特に支障はありませんでした。結果として、手術のための入院期間を除くと、治療のためのまとまった休みを取るということもなかったほどです。

また、私はコンサルタントのオペレーション業務を担当する部署だったこともうまく両立できた要因のひとつだったかもしれません。ここではすでにノウハウの蓄積や属人化されないシステムができているので、突発的に誰かが休んだとしても、ほかの誰かが必ずカバーできるような仕組みになっています。

現在も風邪などで体調の悪いときにお休みをもらって、周りのみなさんに助けていただくこともありますが、それは誰もが同じです。

「びっくり離職」という言葉があるそうです。

私は介護も経験しているのでよくわかりますが、元気だった親が急に倒れていきなり介護が始まったり、思いもよらない大きな病気の診断を受けたりすると、その直後は誰もが強い衝撃で精神的に混乱してしまいます。

そのため、「まずは自分の手で介護をしよう。」とか「治療に専念するため、いったん仕事をやめなければ。」と思い込んでしまい、じっくり考えることなく、とりあえず離職してしまう人が多いそうです。しかし、これはどちらの場合もなるべくなら避けてほしいことです。

昔と違って医療の進歩により、早期発見できれば手術も入院も驚くほど短期間です。逆に言うと今は長く入院させてくれないため、ほとんどの場合が1〜2週間。有給休暇などで十分まかなえる期間です。また、今後の治療を考えると経済的な負担がかかってくるかもしれないので、収入があることは安心材料になります。

何よりがんサバイバーにとって自分の仕事がある、働き続けられる会社がある、ということが希望や生きがいになります。自分が誰かの役に立っている、という気持ちは社会とのつながりを感じさせ、病気や病気による孤独に立ち向かう強い力に変わるからです。

両立するにはどういう制度があるといいでしょうか?

抗がん剤治療などでお休みする期間が長引く場合には、たとえば、がん治療に利用することが可能な失効有給休暇の積立制度や時間単位の有給休暇などがあれば安心だと思います。

あとは、やっぱり周囲の理解ですね。育児よりも介護についての相談が周りの人にしにくいように、病気のことは誰もが気軽に話せる話題ではありません。会社の誰にも言い出せずに、こっそり治療をしているケースもあるそうです。

私は性格的に何でも話せる方ですが、こういうインタビューを受けている理由は、個人的な事情を言い出せない人のハードルを少しでも下げて、困っている人が困っていることを自然に話せる、相談できる会社や社会であったらいいなという思いがあるためです。治療は特に病気の症状や治療の副作用によって働き方が変わってくると思うので、自分の状況や仕事に対する思いを適切に伝えることのできる環境が整っているといいですね。

治療と仕事を両立することで、得た気づきなどがあれば。

病気との闘いは、やっぱり孤独です。だから自分はひとりで戦っているわけではないという実感が欲しくなります。私の場合も家族はもちろんですが、仕事や職場が前を向くきっかけになっていたと思います。自分を必要としている場所があり、必ずそこに戻るのだと思うことが生きる力になります。あとは、どんな状況でも、私にとって仕事はかけがえのない大切なもの。そのときに自分らしくできることを一生懸命やっていくという覚悟ができたから、今の自分があると思っています。

そういえば、病気になって「がん友」ができました。同じ病気や治療経験を持つ仲間との出会いは精神的な支えになっています。SNSやオンラインコミュニティはたくさんあるので、自分に合った場所を探して情報交換をしたり、交流の機会を提供し合ったりすることが可能です。医学の進歩とともにインターネットの力を本当にありがたいなと思っています。

同じ状況の人に向けたメッセージを。

私も最初は「何で私ががんになってしまったのだろう。」と悲観的な気持ちになって落ち込みました。けれども今やがんは2人にひとりがかかる国民病であり、薬も治療法もここ数年どんどん進歩しているため、治せる病気になってきています。「治療に専念するために退職します」ではなく、がんになっても仕事もプライベートも、何ひとつあきらめる必要はないということを知って欲しいです。

まずは身体のことを最優先に考え、その後のことは自分だけで悩まず、状況を見て周りの人に助けてもらいながら答えを出していけばいいと思います。私も話を聞いたり、相談に乗ったりできるので、ひとりで抱え込まないようにしてください。

平川 佳代子

ペンシルでは、がん検診の受診促進や乳がん・子宮頸がん受診の費用負担など、受診率を高める取り組みを行っており、受診率は全国平均と比べても比較的高くなっています。

今後は、さらに受診率100%に向けた取り組みやがんへの理解促進、そしてがんになった人が治療をしながら働き続けられるような両立支援の整った環境づくりを進めることを改めてコミットメントとして発信したいと、がんアライ宣言を発表しました。

がんをはじめとする病気の治療、介護、子育てなど、スタッフの事情もさまざまありますが、一人ひとりが幸せに、いきいきと、最大限のパフォーマンスで働く組織であり続けるために、健康経営を実践していく所存です。

この他の一人ひとりの能力を最大化し、価値創造につなげるペンシルの「ダイバーシティ経営」

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